一度本を買うと、その本はその時点で古本になってしまいます。つまり、一度書店から離れて読者がその本を保有することで古本になります。本は一度人手に渡ると、その時点で購入したときの価値から大きく下落してしまうのですが、同じ本でも発売されて1週間後に売却される価格と、1年後に売却される価格とでは新しいもののほうが高く売れます。

新しい本が高く売れる理由について

では、どうして同じ本でも出版されて早い時期に売りに出した方が高く買い取ってもらえるのか、簡単にご説明します。

特にビジネス書や流行本というものに焦点を当てると、ビジネス本や流行本は発売された時点では大きく盛り上がりますが、1年経ち、2年経ってしまうと、本の内容そのものに新鮮味がなくなってしまうため、需要が大きく減ります。そのため、人気の高いうちに売れば高く売れますが、何年も経つと価格は大きく下がります。実際にビジネス本や流行本が長い間ベストセラーになるということはまずありません。それは読み時期や背景がその本を書いた時期に反映されているからで、今まで通用していたことが何年も経つと通用してないということがとても多いからです。
また、本というものを物理的に見た場合に、保存状態はとても大切です。これも新しい本に比べると古い本には、手垢がついたり、本全体が色あせたり、茶ヤケしたりして、明らかに経年劣化が置きているのがわかると思います。あとは、本の場合本の所有者の癖が付いたりします。例えばお菓子などを食べながら本を読んでいると、当然本はお菓子の脂が付いたり、シミや汚れがつくだけでなく、曲がり癖もついてしまいます。これは本の商品において大変マイナスポイントですし、古本屋さんが買い取る場合はそういう商品としての汚れの有無というのは必ずチェックします。これは新しい本に比べると古い本のほうがそのような経年劣化が起きていることになるので、その分査定価格は低くなります。
このように新しい刊行されている本が、古い本よりも高く買い取ってもらえるのは、情報の鮮度と経年劣化が少ないということが大きな原因となっています。

新しくない本だって高く買ってもらえることがある

以上ご案内した内容は、主に一般的な本などが大将となりますので、そういうタイプの本は本自体の状態が価格に大きく左右されます。

一方で本の中身によっては、古くても価値が高いとされる本があります。具体的には専門書などは非常に高く買取る傾向があります。具体的には仏教、神道、キリスト教、易学、数学、心理学、武道、鍼灸、東洋医学、個人全集、著作集、初版本、限定本、文学書、和本、唐本、朝鮮本、古活字本、古文書、古写経、古版経、写本、古版本、書画、短冊、鳥瞰図、旅行案内図、書簡、時刻表、古地図、絵はがき、チラシ引札、旧車パンフ、古い手紙、各種資料、未使用切手、戦前・戦中・戦後初期の古写真などです。このような本はいわゆる専門書というものですが、どうしてこのような専門書が価値が高いのかというと、それは専門内容をかなり深く彫り詰めているからです。このような本はもちろんベストセラーになるということはまずないのですが、もともと専門書は、値段が高い上に発行部数が少ないということもあり、本自体が中古本マーケットに出てきません。ところが、読者の中には、専門内容を知りたいというニーズがあり、ずっと探し続けているということがある。つなり、需要があるということになるわけです。

ものの価格というのは、需要と供給のバランスによって明確になってきますから、買いたい人が多くいて、供給できる量が足りなければ、その分価値が上がってきますので、高く売れますし、本によってはプレミアムがつくということもあります。